伝えていただくことの難しさ

今日は、朝7時台のNHKのローカルニュースでCoSTEPのサイエンス・カフェが取り上げられた。取材は主に、メインでこのイベントを指導している「特任助教授」の三上直之氏を中心に行われた。ところが、画面のテロップでもアナウンスでも三上さんは「北海道大学助教授」となっていた。また、我々の名称も、「科学技術コミュニケーター養成ユニット」ではなくて、「科学技術コミュニケーター養成講座」として紹介されていた。

放送日が確定してから、我々の広報担当と三上さんに連絡があった。ユニットの正式名称を出していただきたいこと、三上さんが特任助教授であることは繰り返し伝えたという。
しかしNHKの言い分としては、それでは一般の人にわかりにくいからという理由で、上記のような表記となったらしい。


もちろん、我々のネーミングの悪さにも責任があるかもしれない。名前が長いというのは、覚えてもらいにくい。でも、我々の側の問題の本質は、組織や肩書きの名称が長すぎることではない。特任助教授って、助教授なの、助教授じゃないの? ユニットって、大学の教育の中ではどういう位置づけなの? そういうところ、大学は学外の皆さまにどう説明するつもりなのだろうか。はたして、ユニットの特任教員である私にも、よくわからない。だから、きちんと認知されないし、きちんと報道してもらえないのではないかと、私は感じている。

ユニットのような組織は全国の大学にたくさんある。たとえば、私は、9月に自分の母校である某T大学農学部で講演を頼まれたのだが、その後の懇親会で学部長に名刺をわたして挨拶すると、「こういう特任教授なんてわけわかんないのが、最近は大学にうじゃうじゃいるんだよね」と言われた。T大学では組織の中枢にいる人でさえ、自分たちの作った組織のシステムがわかってないようだ。北大だけの問題ではない。

CoSTEPは開講以来、もう何度も新聞やテレビで紹介していただいてきたが、これまでにも、正しく報道してもらえなかったことはあった。我々CoSTEPは、科学(専門家)と社会(市民)をつなぐ役割を果たす人材を育成している。よそさまの組織(専門家)独自のルールやネーミングを社会に伝えるお手伝いをするためには、自分たちが正しいと思う伝え方をしてもらうのがとても難しいことを知っておかねばならない。


それにしても。
たとえば「隈本さんという名前、読みにくいから、熊本さんにします」か?
それ、別の人です。

我々が間違っているということをあえて伝えるほどに、理解しがたいものだったでしょうか? 
関心を持っていただき、数ヶ月にわたり丁寧な取材をしていただいたことには感謝しております。願わくば、あらためて丁寧に説明させていただける機会を作ってほしいです。(難波)