サイエンス・カフェ実習担当者から

昨日のサイエンス・カフェ札幌(午後6時〜7時半,紀伊國屋書店札幌本店1階インナーガーデン)について,実習担当者として振り返ってみたい。

今月のテーマは「世界遺産と科学」。建築史が専門の池上重康さん(工学研究科助手)をゲストに迎え,近年,世界遺産にあいついで登録されてきている産業遺産についてじっくりと語っていただいた。先月の第1回よりも大幅に座席を増やしたのだが,またもや満員。立ち見の方も含め約100人のお客様に,池上さんとのお話をお楽しみいただいた。

前回10月のカフェは,事前・事後に新聞やテレビでも広く取り上げていただいたり,会場からあふれんばかりのお客さんが,天文学者渡部潤一さんや「天プラ」の若手研究者たちと熱のこもったトークを繰り広げたりで,“北海道大学のカフェは初回から大成功だった”という評判を広く頂いただけに,それを裏切らない2回目にできるか,担当者としてはこの1カ月間,胃の痛む毎日であった。

が,いざふたを開けてみると,前回に勝るとも劣らぬ大成功で,ホッとしているところである。何よりの証拠は,途中,2回の休憩をはさんだのだが,帰ってしまったお客さんがいなかったことである。最後まで一つの空席もなかった。

やはり何と言っても,ゲストの池上さんの,密度は濃いのに軽妙なトークと,工学研究科修士課程で産業遺産を研究中のNさんが用意してくれた素晴らしい映像資料のおかげである。改めてお礼申し上げたい。

また特筆すべきは,今回から本格的にスタッフとして参加した受講生やボランティア(CoSTEP応援団)の方々の働きである。カフェ実習の受講者5人のほか,受講生やCoSTEP応援団の有志の方々約10人がボランティアとして参加してくれた。皆さん,事前の打ち合わせどおり,進行・受付・会場などの役割に分かれ,テキパキと仕事をこなされていた。前回,不慣れなため手間取った撤収も,今回は正味20分で終わらせることができた。こうした受講生や応援団の方々の活躍ぶりをみて,おこがましい言い方だが,開講して1ヵ月半経ったCoSTEPの教育の成果を誇りたい気分であった。

むろん,運営に関しては責任者として反省すべき点も多い。さっそく5号館のつぶやきさんが指摘されているように,音響・投影設備の改善や,講演会的スタイルに落ち着いてしまわない――カフェの名に値する――イベント設計の必要性など,課題山積である。

が,こうしたことも含め,受講生やボランティア,地域社会のパートナーの方々と一緒に,私たち教員も少しずつ経験値を高めスキルアップを狙っていくというのがCoSTEP的な進み方だと思うので,皆さまに,今後とも率直なご助言をいただきたい。継続は力なり,である。(三上)