アファーマティブ・アクション

公平といえば、今日は、面白い話を聞いた。大学で化学を勉強して、ケミカルエンジニアをやった後、西アフリカで子供向けの科学コミュニケーションをやっていて、今は化学で博士号をとるために勉強しているという女性。「アメリカで化学の分野では、女性がよいポジションにつくことは難しいか」と聞いてみた。すると、「いや、アファーマティブ・アクションがあるから、女性は、いい仕事に就けるのよ。先住民族とかも。就職が難しいのは、白人男性ね」と答えた。
そうか、そこまでやっているのか、アメリカは。
一方日本。近頃読んだニュースでは、産休、育休から女性研究者が復帰する場合に、月36万4千円の補助金をつけて(2年の期限付き)、無給で研究機関に受け入れてもらう支援制度が始まる。そういうお情け的な待遇でなく、女性をその人のキャリアや実績に応じてしかるべきポジションにつけることはできないものか。ハンディーがあるならあると認めて、それでも女性を、「それぞれのポジションに一定の割合採用しろ」と圧力をかけることはできないのか。そして、その任務が全うできるような支援制度を作ってほしい。
さらに、アメリカではAWISという組織が理系の女性研究者のエンパワーメントをしている。出産や育児は、人間として当然の権利だ。日本の女性研究支援も、政府からのお情けだけでなく、自分たちの権利擁護を主張するセルフ・アドボカシーの力をつけていくことが必要だろう。
AAASの年会は、大学や研究機関の関係者の成果発表というより、様々なNPOの代表が、様々な主張を持ち寄り発表する場のように見えた。自分たちの主張を通すために、どうやって力をつけたらいいのか。科学コミュニケーションの広がりは、日本も全然負けていないと思ったけど、やっぱりNPO活動は、アメリカの伝統に学ぶところがある。