小惑星・重奏

今日の北海道新聞夕刊にうれしい記事が出ました。


社会面「まど」欄に、受講生の川口浩平さんの書いた記事です。

すでに、毎日新聞などで報道されたのですが、札幌市の長尾さんご夫妻が、交通事故で若くして亡くなった息子さんを偲んで作った大型の天体望遠鏡を、赤平市にある「植松電機」に寄贈しました。この会社は、
5月のサイエンスカフェの話題となった北海道発の小型ロケット開発をしている会社です。


天体望遠鏡を設置していたビルが取り壊されることになり、それまでに引き取り手が現れなかった場合はビルと共に廃材となるかもしれないというぎりぎりのところで(追記:と私は思い込んでいましたが、本当は「看板をはずすのでこのさいクレーンでいっしょに下ろしてしまおうということが発端」という情報をいただきました)、CoSTEPの修了生たちが大活躍しました。

望遠鏡の引き取り手を探して、まずは、アマチュア天文家として超有名人の渡辺和郎さんのところに、相談がいきました。次に渡辺さんが、応援団のミーティングで「引き取り手探しが難航している」という話をしました。
それを聞いて、サイエンス・カフェ以来、CAMUIロケットとその開発秘話に感銘を受け、「植松電機」の専務さんが子どもたちへの教育活動などにも熱心であることを知っていた修了生の中村景子さんが、植松さんに相談を持ちかけました。

望遠鏡は寄付ですが、ビルの屋上から降ろし、新しい設置場所へ運ぶ移送費用はただではありません。その資金の問題も解決しました。

そして、今度は、小惑星の発見の数では世界に名をとどろかす渡辺さんが、自分の発見した星に、長尾さんのなくなった息子さんのお名前「Nagaomasami」を名付けて、ご夫妻にプレゼントしました。

その心温まるエピソードを、北海道新聞の現役記者川口さんが記事にしたのです。

夜空の観察は、長尾さんご夫妻の心を慰め、その天体望遠鏡が赤平で、今度は子どもたちの宇宙への夢を育むことになりました。その間を、科学技術コミュニケーションを学んだ人たちがつないでくれたことを、ほんとにうれしく思います。


記事の最後、この星の位置を「秋から冬にかけてオリオン座近くで見られる十五等星」と表現してくれたことで、小惑星は小さな星ですが、実存の星のイメージが鮮やかになります。

(難波)
【追記】こちらに掲載していた新聞記事は、許諾の期間が過ぎたため、削除いたしました。