ハワイの研究者たち

今日は、ついに、標高4000メートルを超すマウナケア山山頂にある望遠鏡銀座に行ってきました。うっそうと緑が生い茂る住宅街を抜けると、ごつごつと溶岩がむき出しになったエリアを横切って、気づくと、雲の上を走っておりました。すばるで働く人がベースにする3000メートルのベースキャンプで一息入れて、その後、道は舗装が途切れてがたがたになります。今回の滞在中ずっとお世話になっている女性天文学者林さんが、たくましく運転して、一気に頂上まで連れて行ってくれました。

出発前から寝不足と食事が取れない状態が続いていたので、体調に不安があったのですが、案の定、巨大な反射鏡を見るために階段をあがったら、だんだん目の前が暗くなってきて、通常見学者が通る見学者コースを歩いただけで、ダウンでした。15分間酸素吸入をしてもらって、その後、根性で、望遠鏡の地下部分を見学して、さらに銀座を一回りして下山になりましたが、3000メートルのオニヅカビジターセンターで、もどしてしまいました。一緒に行った林さんは、さすがに山頂では唇が青くなっていましたが、霧で先が見えない下り道もスムーズに運転して、ヒロまで連れ帰ってくれました。

あの過酷な環境で作業をする、研究者、技術者、運営スタッフの皆さんのご苦労が身にしみて理解できました。

夕方からは、2月23日にオープンするImiloaという、天文学とハワイアンカルチャーを展示する博物館のプレオープンを見学して、ハワイの科学コミュニケーションについて、さらにいろんな人の考えを聞いたり、活動を見たりしました。

地域に根ざしたということを考える上で、たいへん勉強になった、ハワイ滞在でしたが、もう一つ大きな収穫だったのは、ハワイの研究者たちの子育てを身近に垣間見ることが
できたことです。

天文台のオフィスは朝8時にみんなが出勤してきていて、スタートが早いのですが、終わりも早く、勤務時間は16時半までです。で、勤務時間をすぎると、男の人もぐずぐずしないで、さっさと帰ります。そして、幼稚園や学童保育に子供を迎えに行くのです。夜、居酒屋に飲みに行く習慣はなく、パーティーは、お料理持ち寄りで、家族同伴です。って、よく聞く話ですが、聞くと見るとは大違い。実際に、お父さんたちはほんとに、家族に貢献していて、奥さんたちもそれを当たり前に受け止めています。日本だと、貢献度の高いお父さんはいても、残念ながら、そういう夫を持った妻はいつも親戚(時には自分の母までも)から、だんなさんがかわいそうと非難され、自分勝手なできの悪い女と、同性からも後ろ指を指されたりします。
日本人男性も、ハワイに来れば、家族に貢献できるのです。もともと家事能力がないわけではありません。
すばる天文台の研究者や技術者たちは、早く帰っているせいで、研究をおろそかにしているのでしょうか。そんなことはないはずです。(そんなことあると、感じている方がいたら、教えてください)
その他にも、アウトリーチしに行く先の、小学校や幼稚園の日本との違いなど、社会の違いがいろいろと気になりました。
お父さんもお母さんも、当たり前に子育てしながら、働いて、地域コミュニティーの活動までちゃんとやってる社会。これが実現しない限り、日本の少子化は止まらないだろうなと思いました。