札幌の子供たちと自然

昨日は、かがく探検隊コーステップのメインコーナー「研究室に行ってみよう」の収録がありました。

このコーナーは小学生の子供たちが北海道大学の先生の研究室を訪問し、
「先生はどんな研究をしているんですか?」という質問から取材を始めます。

放課後4時半、札幌と周辺の市の小学校に通っている4年生から6年生の子供たちが、
毎回2人ずつ北大に来てくれます。

小学生、保護者の方、ラジオ制作に協力していただいている「さっぽろ村コミュニティー工房」のスタッフ、コーステップの受講生と教員。いつもだいたい総勢10名ほどで北大の研究者を訪ねます。

研究室に到着すると、まずは、取材の趣旨などを説明しながら、マイクや録音機器のセッティングをします。その間、北大の先生はそわそわ。インタビュアーの子供たちが2回目、3回目のときには、子供たちの方が落ち着いているように見えるときもあるぐらいです。

実際の放送時間は約10分間のコーナーですが、録音はその3倍、30分ぐらいになります。
その間、最初に先生の研究について大まかに説明していただき、その話から、子供たちは興味を持ったことや、疑問に思ったことを聞いていきます。
インタビュアーが初めてのときには、緊張のあまり、声が出ない(質問が出ない)こともあります。だからといって、子供たちが全く理解していないというわけではなくて、「さあ、収録が終わりだよ。今日のお話どう思った?」って聞くと、リラックスして、個性的な観点で、先生の話をつかんでいたりします。

そんな、大変優秀な札幌近郊の小学生たちなのですが。
私は、本年度からラジオ収録を担当するようになって、気になることがあります。
子供たちは、北海道の地理や自然に関して、驚くほど、知らないように見えるのです。
北海道は広いから、自分の町以外には、関心を持ちにくいのでしょうか。

小学校高学年だと、日本地図で東京の場所は指し示すことができるでしょう。
でも、オホーツク海の場所を知らなかったり、紋別、網走の位置を知らなかったり。
また、私が小学生の頃は、学校の遠足や親に連れて行ってもらったりで、しょっちゅう山登りをしていたのですが、登山をしたことがないという小学6年生もいました。
登山をしたことがない小学生に、登山道が崩れたり、雨が山の斜面の土が流出してしまう話をしても、ぴんとこないのは当然だと思います。

彼らは理科好きな子供たちです。だから、わざわざコーステップの収録に参加するために、
お父さん、お母さんと一緒に北大まで来てくれるのです。
それなのに、日本でも有数の自然が残っている北海道で、その自然を体験するチャンスが少ないのは、彼らにとって、とても残念なことではないでしょうか。
自然のもろさ、不思議さ、美しさ、怖さ、そういうことを大人になるまで経験せずに、
自然を大切にしたり関心を深めていくことは難しいと思います。

北大の研究室に来てくれるのもうれしいですが、もっともっと、山道を歩いてほしいです。
コーステップ周辺では、出前授業に熱心に取り組む学生さんや先生がいらっしゃいます。
その中から、子供たちを教室の外に連れ出す取り組みが増えるように、考えていきたいです。


(難波)