情報技術と科学技術コミュニケーション

生活のあらゆる場面に情報通信機器が組み込まれる「ユビキタス社会」が訪れようとしている。その時大きな問題となるのは、個人情報が容易に探索されてしまう危険性(トレーサビリティーの問題)だ。

ユビキタス社会」は、個人個人が意識しなくても社会のさまざまな場面で勝手に情報が「伝わってしまう」社会だと言える。そのことで、社会は今まで以上に便利になるのだろう。

しかし我々は、利便性の代償に何を失おうとしているのだろうか?失うものの価値について、十分理解しているのだろうか?そもそもその利便性は、我々が自ら望んだものなのか。それは、いつのころからかあらゆる場所でスローガンとして掲げられるようになった、「安全・安心」を実現するためなのだろうか。

講義では、利便性が一旦インフラとして生活の中に入り込んでしまうと、もはやそれを拒否することはできなくなってしまう、との指摘があった。そうなってしまう前に、この問題について考えておくのは無駄ではないだろう。